昨今、新型コロナウイルスの影響で様々業界に大きな変化が起こっていますね。特に、最近の就職活動では、伸びる業界と危ない業界などがトレンドに上がっています。
伸びる業界の代表格はIT業界ですね。
しかし、IT業界と一言で言っても様々です。実はIT業界の中でも、SESという業態の会社はどちらかと言うと危ないほうに当たります。
実際、私も2020年4月から入社予定の会社はIT業界でした。しかし、SESという業態ゆえに、2か月の無給の入社日延期・試用研修3日目で内定取り消しに。
コロナによるSESの闇を実際に経験した私が、当事者としての視点でコロナ禍のSESの闇について解説します!
そもそもSESとは?
まず、SESについての前提知識をおさえるために、そもそもSESとは何か?について解説しますね。
かたい言い方では、「準委任契約」形態のスタッフ・エンジニアリング・サービスのことです。スタッフ・エンジニアリング・サービスのイニシャルをとってSES。
ざっくり言うと、エンジニアのスタッフを提供するサービス会社です。
SESの具体的な仕事は、IT化したい会社が導入したいシステムを工程ごとに社員を派遣すること。仕事がたくさんあって、仕事ごとに人を派遣して、エンジニア業務をするというイメージ。
SESについてのより詳細な分類については「SESの契約形態の種類とは?」という記事で3種類に分類して紹介しています。
コロナ禍のSESの闇
SESはIT業界の中で、コロナの影響を最も受けやすい業態と言われています。
実際、私はSES業態に入社予定でしたが、入社日延期からの内定取り消しになりました。ちなみに、内定取り消しに至った詳しい私の経験談については、「内定取り消し経験談」という記事で紹介しています。
このような入社日延期や内定取り消しは私の会社だけかなと思っていました。しかし実際のところ、そうではないようです。
ニュースにもなっている駆け出しエンジニアの現実。
この記事には、駆け出しエンジニアの現実だけが書かれていますが、この裏には駆け出しエンジニアの就職先の代表格であるSES業態の闇の部分が裏にあります。
つまり、
という状況。このSESの闇の部分の原因について解説します。
SESの闇① SESのビジネスモデル
SESのビジネスモデルは先ほども言ったようにざっくりと言うと、エンジニアの派遣会社です。
エンジニア業務は上から要件定義というお客さんとどんなWEBサービスをつくるかを話し、それをもとに基本設計し、さらにそれをもとに詳細設計し、実際に製造し、テストする。。。という流れです。
そして、各工程で人が足りないところにSESがエンジニアを派遣させるといった流れです。
イメージとしては以下の通りです。
このSES業態はIT化したい会社がいてこそ成立するビジネスモデルです。
となると、IT化したい会社がいなくなれば、必然的にSESは仕事が無くなります。そして、IT化したい会社とSESは契約期間がおおよそ3か月、6か月の期間で契約されます。
3か月期間は、1~3月/4~6月/7月~9月/10月~12月の期間。
6か月期間は、1~6月/7月~12月の期間。
大体この周期でSESは仕事を回しています。そして、自粛が本格的に進んだ緊急事態宣言発令は4月はじめの時期であり、4月はじめの自粛期間は契約が既に結ばれている状態なので問題ありませんでした。
しかし、3か月期間にしろ、6か月期間にしろ、緊急事態宣言発令以降の契約の更新は7月からです。
7月以降は契約を続ける体力のない会社はどんどんSESとの契約を切り始めます。
特に、保守・運用などの下流の仕事は緊急性が低いため、一旦保留されがちな傾向にあります。確かに、アプリのメンテナンスとかって大したことないことが多いですよね。動作が軽くなったとか、デザインが少し変わったとか。
大幅なメンテナンスが急遽必要とかではない限り、IT系の仕事は後回しにされます。
このコロナ禍で後回しにされないようなメンテナンス作業なんて、個人の支払い情報が流出した某セブンPayくらいのものじゃないとやらないでしょう。
そうすると、必然的にSESの仕事も減り、そのしわ寄せが影響して、エンジニアの人材切りが発生。こういうSESの闇とも言える状況がコロナ禍で起こっています。
SESの闇② 人材過多な下流工程
また、駆け出しエンジニアがSESで切られる理由として、下流工程に人材が飽和してしまっているということが挙げられます。
とは言っても、エンジニアって人材不足って言われているじゃん!と思う方。ごもっともです。散々エンジニアはネットをはじめとして人材不足と言われていますからね。
しかし、人材不足とは言っても、どのエンジニアが人材不足なのか?はあまり言及されていません。
結論から言うと、人材不足なエンジニアというのは上流工程にあるエンジニアになります。
図として表現すると以下のようになりますね。
実際は白色の枠ぐらいの人数比率で、上流工程から下流工程にかけて人が必要なのですが、実際には黄色の線くらいにエンジニアが偏っているという状況。
このような状況だからこそ、下流工程はより雑務多すぎみたいな悪評が立つことになっています。
具体的にどうヤバいのかというと、
といったもの。
なので、仕事があったとしてもこんな仕事ばっかり。
下手したら、入社日延期で時間稼ぎされたり、内定取り消しになったり。駆け出しエンジニアの人材切りが発生。こういう経緯で、SESはコロナ禍でより闇が深くなっていると言われています。
コロナに限らない不況時におけるSESの闇
ということで、コロナ禍におけるSESの闇について解説しました。
実際に駆け出しエンジニアとしてSESの内定取り消しになった私の感想としては、これが現実でした。これはコロナ禍に限らず、広く言うと「不況」で起こるSESの闇と言えます。
実際、リーマンショック時にも似たようなSESの闇事情があったようで。上述したように、SESはビジネスモデル的に不況に弱い。
そのため、内定取り消しなどの被害を受けないためにも、状況を見ながら業界や業態をしっかり理解しておきましょう。
と、かなりネガティブな内容になってしまいましたが、こんな時期だからこそ、時間をつくりスキルを磨くチャンスだと考えましょう。
私も、内定取り消しになった後無事に仕事を開始できていますが、今も毎日勉強しております。こうして勉強できるのも、こういった現実を理解しているからこそ。
駆け出しエンジニアの皆さん、一緒に頑張りましょう!
ここまで読んでくださりありがとうございます。それではまた次回。ブログかTwitterかで会いましょう。