こんにちは!ゆるけー(@yurukei20)です。
私事ではありますが、新型コロナウイルスの影響で内定取り消しになりました。
それだけではなく、それまでに無期限で手当てゼロの入社日延期やスパルタ研修により同期が全員辞めたりもしました。
3月末から6月はじめまでのたった3か月間での出来事ではありますが、覚書として書き残しておきます。
入社日延期します、給料出さないけど
―――入社がほぼ決まり、心待ちにしていた研修がはじまる
はずでした。しかし、現実はそんなに甘くありません。入社日延期です。
時は2020年3月末。
新卒で会社に入社するまであと1週間。会社は東京。
その東京は、当時2020年初頭から騒がれていた新型コロナウイルスが蔓延していました。3月頃から新卒入社の時期直前というのもあって、ニュースではたびたび入社式の延期や内定取り消しなどのニュースが頻発に。
肝心の入社予定である東京の会社からは特に連絡もない。ただ、1ヶ月前ほどに「東京でお待ちしております!」とだけ言われてそのまま。
しかし、やはりコロナが蔓延している東京に行くこと自体がまだまだ不安。そういった不安から会社に連絡しました。東京に行ったとしても、コロナへの対策などはどのようにしていくのか?それだけさえ聞ければいいかと思っていました。
しかし、かけてもかけても会社に電話が全然つながらない。繋がったと思えば、入社予定の会社の親会社。かなりバタついている様子でした。
新卒入社予定のものであることを告げると、個別に人事の方に電話してもらうようにつなげるとのこと。2時間ほどかかって、教えてもらった電話番号から電話がかかってきました。つながっただけで安心したが、それも束の間。
告げられたのは「入社日を延期します」という旨の連絡でした。
当初予定していた3月末の研修も4月下旬に延長され、それに伴って4月1日の入社日も一旦4月下旬に延長されました。その電話があったのは、3月末の研修1週間前。
(細かいことを言うと、東京行きのバスはもうとってしまった。。。キャンセル料を無駄にしてしまった。。。)
手当てゼロ、無期限、しかも連絡漏れ
入社日延期をするのはまあ仕方がないでしょう。
しかし、それだけではありません。延期期間中の給料手当てもゼロ、リモート研修も一切なし。
何とかならないのかと問い合わせても、「まだ働いていないので」や「会社の業務上、リモート研修はできません」の一点張り。
しかも、一旦4月末に入社する予定ではあるが、入社日延期の期限はわからないという。
いやいやどう過ごせと。バイトも辞めて、一人暮らしの家も引き払った。あとは東京の寮に行くだけのタイミングで無慈悲なストップ。
さらにトドメをかけたのは、私だけ連絡漏れだったという事実。
実際にわかったのはさらに1週間前でした。(細かいこと言うと、バスのキャンセル料払わずに済んだのか。。。)
会社から来るのはさらなる延長の連絡と辞退の促し
無給で無期限の入社日延期期間。さすがにこたえました。4月の収入はほぼゼロが確定。収入ゼロの状態で過ごさなければならないとわかったときの、あのゾッとする感覚は今でも鮮明に覚えています。
4月に入り会社から連絡が来たと思えば、さらに入社日を1ヶ月延期するとの連絡。
どうやら4月はじめに出された緊急事態宣言によりさらなる延長が決まったとのこと。次の入社予定日は5月はじめになりました。
これで4月の収入がゼロになることが確定。しかも、今からバイトを探そうと思っても、1か月未満の超短期期間しか無理。
それだけではありません。5月上旬の入社日延期の連絡とともに、さらに添えられた言葉は「もし今回の件で辞退を考えられるのであれば、ご連絡ください」という文言。
これは暗に辞めろと言っているのか?と少し勘ぐりました。
しかし、やはり新卒で入社する気だった、というか他の会社は内定辞退して選択肢がその会社での入社しかなかった私は都合よく解釈するしかありません。
当時は「それくらい覚悟持って入社してくださいということなのかな」とか自分に言い聞かせるようにしていました。
無職としての入社日延期期間
―――突然の無期限入社日延期
収入もない、手当もない。補償金ももちろんない。
当時は給付金10万円の話も出ておらず、経済的な余裕が全くない状況でした。不幸中の幸いとして、上京する前に連絡が来たので、無駄な家賃を負担することは免れました。(バスのキャンセル料は払いましたが。)
それでも、ひたすら貯金が減っていくだけの感覚は恐ろしいもので。あの感覚は今でもフラッシュバックするほど鮮明に焼き付いていますね。
そして、大学生でもない、企業に勤めてもいない。という集団に属していないことが更に追い打ちをかけました。
要するに、ニートです。無職です。
入社日延期する前は、大学というコミュニティやアルバイトなどのコミュニティに属しており、こういった欲求は常に満たされている環境に恵まれていました。そして新生活を迎えて、新しい会社に入社し、会社というコミュニティが確保されていることが当たり前だと思っていました。
しかし、現実は厳しいものでした。
入社日延期期間中、別会社の友人が内定取り消しに
この入社日延期間中はひたすら勉強をしていました。
遊ぼうなんて思えないほど不安でしたし、そもそもコロナで自粛ムード。本当に入社できるのか不安で、求人を探したりもしました。
勉強にしても、求人探しにしても、精神的に不安定である以上思うように進まない。他の人は働いている中、自分は無職で実家に引きこもり。将来がかなり不安に感じた時期でした。
そんな中、さらに不安な事態が。
4月末、大学時代の友人が内定取り消しになりました。
彼は、4月から入社し、リモートで研修を一か月ほどしていました。しかし、4月の1か月間全く事態が好転しないコロナの情勢。
会社はやむなく、新卒勢を全員切ったとのことでした。その会社の業界は音楽業界。確かに連日ライブの中止のニュースが絶えなかったので、会社にもかなり影響はあったのでしょう。
とはいえ、論理的に内定取り消しになった理由がわかったところで、感情的には内定取り消しというのは納得がいかないもの。当時、彼に何も声をかけてあげられなかったのを覚えています。
そして、それと同時に「もしかしたら自分も内定取り消しになってしまうんじゃないのか」とも感じたのも覚えています。
しかし、私が入社予定の会社はIT業界。しかも散々人材不足と言われるエンジニア・デザイナー枠です。
さすがに新型コロナウイルスで多少の影響があったとしても、長期的に必要となるエンジニアを切るなんてことはないだろうと自分に言い聞かせていました。
というか、もうそうするしかありませんでしたね。
かたくなにリモート研修しない理由
少し話はそれますが、IT業界と言えば「なんでインターネットを扱う業界なのにリモート研修できないのか」という疑問が湧くと思います。
私もそう考えたため、会社に問い合わせたところ、「セキュリティ面」と「学習面」で厳しいとのことでした。
会社の業務は基本的に自社開発ではなく、他社の情報を管理するようなシステムを開発しているため、仕事で扱うデータは他社以上に配慮しなければなりません。
もし銀行の顧客情報や公共機関のデータが流出すれば、大問題。そんなリスクのある仕事を、もし喫茶店のフリーWi-Fiで扱っていたら、Wi-Fiを経由して情報流出もあり得ます。
なので、一貫して社内のネットワークを経由して仕事をしなければなりません。
また研修に関しても、プログラミングはリモート研修は質問のしやすい環境ではありません。
それゆえに、会社の研修はリモート研修が認められにくい傾向があります。
リモート研修はどうしても1対多の講義形式が基本的なスタイルに。そのため、質問が結構しにくい傾向にあります。
実際に、オンラインの勉強会に参加したことがある人なら分かると思いますが、会社や会場で質問をするのと、オンラインのツールを使って質問をするのはかなり違いがあります。
この質問のしにくいリモート研修というオンラインの環境。そして、エンジニアの研修と言えば、質問が前提となるような難易度の高いプログラミング学習です。
プログラミング学習では、挫折したらその瞬間にわからない点を聞き、試行錯誤することが必須な勉強なわけで。
そんな質問する環境が前提のエンジニアの研修はリモート研修するにはかなりハードルが高いというのが、会社が判断した現状とのことでした。
詳しくはこちらの意外にエンジニア職種がリモートワーク・研修できない訳【IT業界】という記事で紹介しています。
さらに1か月の入社日を延期するとの連絡
5月に入って、さらに緊急事態宣言の延長の通達。
それに伴って、5月はじめの入社も延長。さらなる入社日の延期です。
次の入社は5月末とのこと。
もう何も信じられませんでした。
収入も2か月間ゼロ。
所属団体も無い。
実家に居候した無職。
社会経験無し。
客観的に見ても、主観的に見ても、どう見ようとしてもひどい状況でした。時間とお金がどんどん減っていく。精神的にも擦り減る感覚はかなり鮮明に覚えています。
もちろん、コロナ禍のため遊べないのはもちろん、遊ぼうとも思えません。そんなことしてる場合じゃないから。
さらに親からは「本当にその会社大丈夫?」と詰められる。そんなこと言っても、今から就活して何とかなる問題ではないわけで。かといって、そう口答えしたところで事態は解決するわけでもないわけで。
なので、歯向かうこともせず、ただただ自分自身の居場所がない感覚に陥っていました。
次の入社予定として設定された入社日まであと2週間。
東京行きのバスも取らないといけないため、再度会社に連絡。バスとかの関係もあるという事情を添えて連絡したところ、今回はしっかり入社前研修を実施する予定とのこと。
正直会社の言うことはもう信じられないが、信じる以外の選択肢がないため、バスのチケットをとりました。
緊急事態宣言はまだ解除されていません。しかし、さすがに会社もしびれを切らして研修の実施を決行することにしたそうです。
コロナが蔓延する、緊急事態宣言も未解除の東京へ。
スパルタ?難易度狂った研修課題
―――2か月越しに研修が開始。ようやくこのときが来ました。
5月末深夜の高速バスで東京へ。早朝、東京に到着しました。
しかし、入寮は頑固一徹21:00からのみとのこと。いろいろと細かい私は「バス組のことを一切配慮しない時間設定やん」とか思っていました。
しかもコロナで外食の店はほとんど閉鎖中。時間をつぶす場所もありません。ひたすら東京を徘徊し、時間を過ごしていました。時間になり、ようやく会社の寮に入寮。
2か月越しでようやく研修がはじまります。
スーツを着て、会社へ。会社でかるく役員の方とあいさつし、ガイダンスを受けました。そのガイダンスが終われば、研修。
会社も自称するほどのスパルタな研修です。
そして、はじまった研修は課題を与えられるだけの形式。講義も無ければカリキュラムもありません。講義が無いのは昨今のプログラミングスクールの傾向的には納得できました。
でも、「未経験歓迎でカリキュラムも一切なしか。。。」と少し違和感を感じたことを覚えています。一応言っておくと、この会社の求人では一応「研修制度が充実!」を売りにしていました。なので、その分入社後のギャップは確かにありましたね。
「でも、まあ社会ってそんなもんかな」と自分に言い聞かせるしかなかったため、そのまま課題に取り組みました。
しかし、その課題は今まで見たことのないレベルで難しい。
課題を見た瞬間、「あれ?印刷ミスっているのかな?」と疑ってしまうほどの難しさでした。プログラミングを独学とスクールで学習していましたが、全く解けません。
「プログラミングでこんなこと勉強したか?」と疑いたくなりました。
ちなみに、最近その当時の課題のメモを見返しましたが、プログラマーとして勤務している今でもわからない問題でした。そりゃ解けないわ。そりゃテンパるわ。
質問の対応者は電話で怒鳴り散らす
課題に関する質問はしていいとのことでしたが、対応者はずっと電話中。
しかも対応者は電話越しにずっと怒鳴っている状態。
いや、電話終わっても不機嫌やし、質問しにくいわとか思っていました。自分がビビっていたのもありますが、自分にとってはあまりにも質問しにくすぎる環境だなーと感じていたのを覚えています。
しかし、与えられる研修の課題は問題文の意味が理解できないほどの難しさ。
1文に4つくらい意味の知らない単語が出ていました。調べても、専門用語過ぎるのか、概念チックな意味しか出てこず、さらにわからなくなる。
かといって、設問の意味を聞こうと思っても対応者は電話中、しかも不機嫌、ずっと怒鳴っている。。。
幼稚な表現にはなりますが、「何かやべえところに来たな」と感じましたね。
面談という名のひたすら煽られる時間
この研修の合間に、いくつか面談がありました。
しかしその面談は、面談という名の皮をかぶった一方的な研修生への煽り文句を言う時間。ひたすら「この会社に入る覚悟はあるのか」という旨の煽り文句で煽られました。
「本当にエンジニアになるの?(なれるの?)」
煽る。
「これからのエンジニアはかなり厳しいぞ」
煽る!
「毎日勉強しなきゃいけないよ」
煽る!!
「給料がいいとか仕事が楽とかいう理由なら辞めときな」
煽る!!!
煽られ、煽られ、煽られまくり。
ひたすら時間をかけて煽ってきました。
他にも、
「どれだけエンジニアという職業が厳しいのか」
「ほとんどのエンジニアは淘汰される」
「毎日会社が閉まる23:00まで勉強しないと行けない」
「休日なんてない」
「趣味とかしてるなら安月給の仕事しかできないから諦めろ」
「開発がしたいのなら毎日勉強しろ」
とかとか。
もっと具体的に言うと、
「2020年からプログラミングが小学校の必須科目として設定されたことで、天才エンジニアが今後次々に現れる。だから、君たちみたいな今頃プログラミングをはじめた程度では5年後、10年後ではやっていけないかもしれない。諦めるなら今のうちが良い。安月給のテストする仕事なら空いてるかもしれないけど、それでいいのかい?天才エンジニアに追いつかれないためには毎日勉強して、趣味は全部辞めないといけないから。」
とかとか。
実際にWEB系の仕事に就いた今だから言えますが、確かに事実だけならそうですが、ちょっと言いすぎなところはありますね。この場合、単純に仕事量が多過ぎて趣味の時間が取れないのであって、エンジニア全員がそうだとは限らないんですよね。
ただ、当時は新卒で1社目というのもあって、「こういう厳しいこと言ってモチベーション上げさせてるのだろうか」と考えていました。
私はそういう風に納得して「会社で勉強頑張ります!」の一点張り。
一方で、同期はどんどん辞めていきました。
同期とは言っても、小さなベンチャー企業というのもあって、私含めて3人。3日間ある研修の中で、1日目に1人辞め、2日目に2人目が辞め、3日目の朝研修に来たのは私1人だけでした。
孤独に研修課題に取り組んだ3日目。
もちろん、相も変わらず質問対応の役員の方はずっと電話していて、ずっと怒鳴り散らかしている。研修課題も全然解けない。
それでもあきらめず、わからない用語を調べたり、勇気を出して電話の合間に質問したり、課題を進めていきました。まさに孤軍奮闘という状態でしたね。
研修3日目の夕刻、最終面談の連絡が。
その3日目の面談で衝撃の通達がされることは当時予想だにしていませんでした。
面談という名の一方的な内定取り消しの通達
―――研修3日目、最後の面談。
個別面談の時間。(同期が全員辞めて、もう私しかいなかったので何をしても個別ですが。)
面談の対応者は2人。そこそこ若い人事担当の方1人と、研修の最初に挨拶をした人事担当の役員1人。
ちなみに研修課題などの教育担当した方は面談には不在。面談に教育担当の方がいないことから、普通に今後の入社に関する話になるのだろうかなと思っていました。
研修課題のこととかで煽られたり、詰められたりはしないだろうなと少し安心した状態で面談が開始。
しかし、若い面談対応者の方が第一声に告げたのは、
「今回の採用は見送らせてください」
という言葉。一瞬でパニックになりました。
心の中では、
「え?見送り?そもそも採用されてなかったの?」
と、そもそも自分がどういう立ち位置だったのかよくわからない状況に陥りました。
そんなパニック状態になっていることも構わず、役員の方が続けて
「最近の新型コロナウイルスの影響で、会社の契約がどんどん切られてるんだよね。君が入社しても、仕事が無いから給料は安いだろうし、時間もかなり無駄にしてしまうし。お互いのためにも今回は見送りです。」
と。いやいや。仕事が無いとか今更言われても。2か月間待たせる必要はなかったんじゃないのか。そう思う私に答えるように、役員の方が続けて話し始めます。
「会社の契約ってね、大体3か月おきに更新されるんです。だから、緊急事態宣言が発令される4月はじめは、もう4月は会社の契約があって。そのおかげで4,5,6月の仕事は何とかなっていたんです。」
「だけど、最近どんどん7月以降の契約が切られていて。で、君がおそらく研修を終えて仕事をはじめる7月頃には、全く仕事が無いわけ。だから、入社したところで仕事が無くて困ることになるのは君。君のためをおもっての不採用なんだ。」
と、饒舌に話す役員。
もはや台本があったのではないかと疑いたくなるほどでした。一方で、既にパニック状態の私は、何も答えられません。
仕事が無いからってこんな時期に切ることってあるのか?
君のためをおもって?なんじゃそりゃ。
本当におもっているのなら、次の就業先まで面倒見てくれないのか?
もう思考がぐちゃぐちゃに。何から手を付けて考えたらいいのかわからない。というか、これは考えて解決する問題なのかも判断できない。
しかし、まずは一旦採用取り消しに関して何とかならないか交渉すべき。そう判断して、私も対抗というようなかたちで話しはじめました。
「仕事が無くても、会社に貢献できることを考えて取り組んでいきます。何なら仕事が無い時期は無給でも構いません。勉強も頑張って仕事についていけるようにいそしみます!」
もはや交換条件に無給を持ち込むあたり、かなり追い詰められていましたね。あれだけ無給の入社日延期期間に精神的に追い詰められそうだったのに。
その地獄のような入社日延期期間とほぼ同じような状況になってでも、今の状況の方が危機的であると体感的に感じていました。
新卒社員に社会経験が無いことを詰める役員
そんなリスクをとってでも対抗する私に、役員はマスク越しでもわかる厳しい表情で話しはじめました。
「無給で勉強すると言っても、絶対についていけないから。」
いきなり、どストレートに厳しいことを言う役員。そこから役員もヒートアップ。
続けて言ったのは、
「会社に貢献するってどうやって?社会経験も無い君が会社で何ができるわけ?」
「努力するって根拠は?社会経験ないから証明できないよね?」
「勉強を頑張るって言ってるけど、勉強を頑張れる根拠は?社会を経験していない君の頑張りますという言葉は信用できない。」
「証明のできない努力に会社も金を払えないし、無給でも雇えない。」
新卒社員に”社会経験が無いこと”をピンポイントで詰める役員。
それを知っていながら採用したのは企業側ですが、当時の私はもう既に混乱状態でそんなことまで思考が回りません。
急に詰められ、あたふたしている私に役員はまだまだ続けます。
「まず、努力とかやる気とかそういうもので解決できるレベルじゃないから。スキルが低すぎる。」
「君にはセンスが無い。エンジニアにはなれないし、そもそもIT業界に向いてないから。少なくとも、うちには向いていないと思う。」
実務もはじまっていないのに、かなり仕事の実力について詰めてきました。
私も「いや、実際に働かないとわからなくない?」と聞きたい気持ちはありましたが、そんなこと言ったらまた何を言われるかわからない。
怖くて何も返せませんでした。
それでも、役員はまだまだ続けます。
「うちの会社で活躍しているのはほとんど営業とか飲食店とかで理不尽なことを経験している人。君みたいなタイプは入社してから苦労する。」
「この会社で何もできなくて辞めてってなったら誰も拾ってくれなくなるから。」
「君みたいな無知な学生を路頭に迷わせるようなことはしたくないから、こう厳しく言っている」
「だったらお前が拾えよって思うかもしれないけど(笑)」
笑う役員。苦笑いする私。もはやその状況に引いている若い人事担当。混乱している当時の私でさえも異様な光景だと思いました。
役員は笑いながら言葉を続ける。
「延期していた2ヶ月間何してたの?(笑)」
私は震えながら、
「プログラミングの学習をしていました。。。」
と答える。役員はまだ半笑いで言葉を続ける。
「2か月間勉強していてこの程度?研修課題は全然解けてなかったけど。」「この3日間の研修ではそんな勉強していたの微塵も感じなかったな。(笑)」
2か月間も連絡ほぼ無しで待たせといてこの仕打ちか。。。それでもまだまだ詰める役員。どれだけ辞めさせたいねん。
「少しでも甘い考えがあるなら辞めな。今ならまだ引き返せるから。」
「スキルが身につくを謳ってるからって乗っかろうとしているだけじゃないの?」
「そういう人は会社に入ってから苦労する。何度も言うけど、君のためを思って言っているから。」
「君と同じような人がいてね。その人は未だに研修課題を終えていなくて、仕事に選ばれない。仕事がある今でもそんな人がいるんだ。君が仕事をはじめる頃はもっと厳しいから。」
トドメの履歴書全否定
この会社は、求人で「未経験歓迎!」や「徹底した学習のサポート!」を謳い文句にしている企業。
実際に入ってみるとこんなもんなのか?よく企業の人事担当が「就活生が噓つき過ぎて困っている」とか言っているニュースを見かけるが、会社も人のこと言えないのではないか。いろいろ考えて、もはや思考が迷子になりました。
その険しい表情が、どうもかたくなに認めようとしない姿勢に見えたのでしょうか。
ため息をつきながら、役員はクリアファイルから書類を取り出す。
一瞬でわかりました。私の履歴書とエントリーシートです。
そして、その私の履歴書とエントリーシートを見ながら役員がトドメを刺しにきました。
「履歴書を見たけど、多分うちの仕事は無理だと思う。」
「大学でしてきたことって結局うちの会社では役に立たないし。」
「ボランティア活動とかしかしてなかったんでしょ?ああ、あとはアルバイト少しかな。それくらいの経験しかしてない人はうちの仕事がきつくてやめてしまうから。」
「よくわからないけど、このボランティア活動も大したことしてないよね。社会経験はもっと厳しいから。」
履歴書、ESの否定。自分が提出したものを1つ1つ見ていきながら、否定されました。
就活生にとって、履歴書やエントリーシートは自分を最大限アピールするもの。自分の強みと思って提出したESを否定されたら自尊心も持てません。
否定されるうちに自分には価値がないような気もしてくる。
最初は理不尽だとか認めないとか強気でいましたが、そんな感覚も次第に薄れていきました。
本当に実力がないんじゃないか、と思うまでに追い詰められました。
本当に自分のためを思ってるのか。もはやわけがわからなくなる。
なんでもっとはやく言わないの?
なんでそこまで辞めさせたいの?
ふと家族のことがよぎって、ゾッとする。なんて親不孝なんだろうかと。
ボロボロの私を横目に、役員が腕時計を見る。
「取り敢えず、今日は不採用ということでお願いします。」
「もし、それでもこの会社に入りたいのであれば、来週もう一度月曜日に研修をするので、連絡ください。」
私をとにかく出ていかせたいのでしょう。
もう諦めました。
この時点で既に自分自身を信じられなくなって追い込まれていたため、フラフラになりながら「本日はありがとうございました。」と告げました。少なくとも、今日はダメだなと判断した結論です。
最後に役員から、
「来週よかったらもう一度研修をするけど来る?さっき軽く言ったけど。」
と聞かれましたが、もう判断する力もない。
「わかりません。また連絡します。」
とだけ告げて、相手の返答を待たずに速攻会社のエレベーターへ。入ってすぐさま「閉」のボタンを押す。颯爽と会社を出ました。
そして、思考も整理付かないまま外に出る。会社の人と会わないよう速攻でオフィス街を抜ける。しばらくしてふと気づきました。
「あれ?今の自分って宿無しの無職なんじゃ?」
「しかも、新型コロナウイルスがまだまだ蔓延している東京で。」
宿無しの無職という絶望
内定取り消しの通達を受けて、会社を出てもまだ思考はまとまらない。しかし、それでも自分の今の状況が絶望的なのはわかりました。
そしてふと気づきます。
「あれ?今の自分って宿無しの無職なんじゃないか?」
「しかも、日に日に新型コロナウイルス感染者が増加する、この東京で。」
コロナが蔓延する東京で宿無しの無職になりました。
当時はまだ緊急事態宣言も解除されておらず、東京は日に日に新型コロナウイルスの感染者数が増加している状況。
そんな東京のオフィス街の中で宿無しの無職。当時の東京は新型コロナウイルスの影響でどこもかしこも自粛ムード。無職の宿泊施設の定番である、ネットカフェやカラオケボックスも閉鎖中。ね。
取り敢えず、会社の寮に行って何とかしてもらうしかないか、、、と考えて会社の寮へ。
、、、と行こうとするも、中々向かえない。会社の寮からも追放されたら本当に住む場所が無い。さすがにヤバい。文章で表現できないほどヤバい。
将来への絶望、自分が信じられない苦しさ、未来が見えないという絶望。自分で自分を信じられないという苦しさ。
どうやってこの状況を打開すればいいのかわからない。寮に向かえず、東京の街をただただ歩きました。
しかし、歩いているうちに体にも異変が起こります。
めまいがしてくる。
頭痛が止まらない。
呼吸も少しおかしい。
足の震えが治まらない。
何をしても上手くいかないんじゃないか。絶望的でした。一方的に追い詰められて、精神的に攻撃されて、体調までおかしくなってくる。
精神的に殺されるんじゃないかと考えてしまうほどに追い詰められていました。
考えるべきことはわかっていました。
考えるべきことは「これからどうするか」しかない。内定取り消しされたことや、その面談で自信を失ったことを思い出しても何もなりません。
そうわかっていたとしても、思考がそうはさせてくれませんでした。考えても意味が無いとわかっていたとしても、怖い未来を考えてしまう。何度も何度も考えても、内定取り消しの面談のことを思い出す。
あの面談でのトラウマがどんどん自分の中で膨らんでいきました。
しかし、寮に行かないとそれはそれで宿無し。むしろ寮に行って何とか交渉したら宿無しは回避できるかもしれない。そんな単純なことにすら気付かないほど、追い詰められていました。
寮に行っても行かなくても宿無し。でも行ったらもしかすると宿あるかも。
ならば、寮に行こう。
勇気を出して寮へ向かいました。
内定取り消しされたことを知らない社長
寮に入ると社長がいました。速攻で社長に話しかけました。
「お疲れ様です。人事の方から私のことを聞きましたか?」
社長がキョトンとして
「いや、何も(聞いてないけど)?」
何も?何で?
「あの、今日の面談で採用を取り消されまして。」
驚く社長。
「え?そうなの?」
「本当に?はじめて聞いたな。。。」
と。もはや本音じゃないと出ないトーンで。
どうやら、社長曰く人事関係は全て人事担当に任せているとのこと。
せめて新卒の採用・不採用は把握しといてよ。というか、人事担当も社長にだんまりかよ。とか思いながら人事担当にどんどん苛立ちが。
そして、社長もそんな感じなので、この会社への期待は完全に消え去りました。
あれだけ面談で詰められても「何とかしてこの会社に入れないか」と考えていたTHEブラック人材な思考をしていた私ですが、このとき完全に会社への情熱とか気持ちとかが冷めました。
取り敢えず、社長もあまり詳しく知らないことを良いことに、
「また研修受けたいと思うので寮に泊まらせてください」
と告げました。とっさに出た寮に居候するための言い訳でしかありません。
何とか「宿無しの無職」から「内定取り消しされた会社に居候する無職」に格上げ(?)できました。
今から就職活動していけるのかという不安
宿は何とかなりました。なので、生存欲求は何とか満たされるように。ギリギリで。
しかし、仕事が無ければお金も無い。所属するコミュニティも無い。ただの無職。入社日延期とかの言い訳もできないので、正真正銘の無職です。
お金とコミュニティが両方満たせる仕事探しにかかりました。
仕事探しを開始したとはいえ、コロナ禍。会社も内定取り消しするくらい仕事が無いので、求人も少ない。しかも、入社日を散々延期したということもあって今は6月。
コロナ禍の6月から新卒就活をはじめるには遅すぎました。
6月はそもそも3回生がインターンをはじめるような時期です。ほとんどの4回生は内々定やらをもらってるような時期。未だに経済団体連合会の新卒就活は6月開始なんて言っている企業やそれを信じている学生はほんのわずか。
そんな6月から就職浪人として新卒を目指すのかどうか?
リーマンショック時の内定取り消し者向けに実施されていた特別支援措置も無理。この特別支援措置では、2月や3月の大学卒業直前に内定取り消しを受けた学生向けに、単位が十分にあっても希望留年することを認めるという措置でした。しかし、私にはこれは通用しません。もう大学を卒業していますから。
2ヶ月のブランクがある以上大学の在籍はできません。かといって、実務経験のない自分には第二新卒や中途採用も有利になるとは思えないわけで。
内定取り消しを受けた友人に相談する
ふと、内定取り消しを受けた友人のことを思い出して、連絡すると数分で返信が。
そのまま電話で、私の現状や友人の現状や未来について共有しました。
どうやら、内定取り消しを受けていろいろ考えた結果、今どきの求人はブラックが多くて荒れているだろうという判断でここ1年くらいは勉強して自己研鑽することにしたそう。
具体的には、英語をスクールで学習するとのこと。確かに求人が荒れているのは一理あるし、かなり堅実な選択だなと。私もエンジニア・デザイナー志望というのもあって、プログラミングスクールとかもありだなと考えたり。
しかし、実際に学生時代プログラミングスクールに通いましたが、エンジニアは実務での経験が重要過ぎてスクールでの学習は微妙だった記憶があったので、選択肢として微妙。
どれだけスクールで勉強したとしても、エンジニア就職するときには「未経験枠」での採用には変わらない。
ならば、アプリのテストでも何でもいいから実務経験を積んで、最低限の経験有りという存在になることにしようと。例えテスト担当として1年間仕事をして、その後「未経験枠」でしか採用されなかったとしても1年分の生活費さえ稼げていればいいと決断しました。
正直、2か月の入社日延期期間でひたすらお金が減っていくとともに精神が消耗する感覚があったので、とにかくそれは避けたい。
その一心で、実務を積みながらスキルアップしていく方針に舵をきることにしました。
新卒・転職エージェントと新卒採用などを中心に職探しをすることを決断。取り敢えず、7月くらいまで粘って無理なら諦める。諦めたら、それこそ何か勉強でもするか。
若干アバウトではあるものの方針を決めました。
よし、これで行こう。再就職活動を開始しました。
社会人のプライドを捨て東京から逃げる
まずは拠点。
正直求人が多いのは圧倒的に東京。とはいえ、会社の寮にずっと居候して転職活動するのも微妙。というか、それこそ追い出されます。
しかし、実家に帰ると求人は減るし、社会人にもなって居候する無職にもなるし、何より家族に内定取り消しのことがばれる。
かなり悩みましたが、求人はどうせ少ないから東京でも期待できないし、内定取り消しを受けたことはどうせばれる。
ならば、実家でコストを抑えながら寿命を延ばそう。大学も実家寄りだったこともあり、実家を選択しました。東京から逃げれば、「実家に居候する無職」です。
そう、典型的な無職になります。
もはやプライドなんかありません。
社会人としてのプライドを捨て、東京から逃げることを決意しました。
社会人としてのプライドを捨てる
社会人としてのプライドを全て捨て、実家に帰ることに。
正直、社会人になった以上自分で生きていきたいとか独り立ちするんだとか考えていたこともあって、実家に帰る選択肢というのはかなり躊躇しました。
社会人として東京に来て、1週間で家族のところへ戻るというのは、個人的にプライドのようなものが障壁となって悩みました。
けれど、そんなこと言ってもここで暮らしていけるとは思えない。
会社の寮を出て、どうやって職を探す?どうやって住む場所を探す?
そんな自己満足なプライドのために、野たれ死にして人に迷惑をかけるほうがよっぽどいやだなと考え、実家を頼ることを決断。
内定取り消しになった旨を伝えて、バスを予約しました。
あまりショックを受けている様子を伝えたくなかったので、かなり明るくふるまって話しました。家族は驚いていた様子でしたが、戻ってきていいよと快く受け入れてくれました。
東京から逃げ、実家の家族のもとへ。
親しい人がわかってくれるとは限らない
6月はじめ。東京行きのバスに乗った1週間後、実家に戻ってきました。
電話では優しく受け入れてくれたと思っていましたが、実際にはそうではありませんでした。最初こそは割と普通に接してくれましたが、今後のことについての話になるとヒートアップしてきました。
「これからどうするの?」
私も正直よくわからないので、
「これから決めるよ。」
と答える。
「これから決めるってどうするの?」
「ちゃんと考えや」
「はやく仕事に就きなさい」
「だから、前から怪しい会社やと思っててん」
いまさらそんなこと言っても仕方がないことまで言われました。
というか、内定取り消しを受けた人に言うような言葉か?と思いながら、決して間違ったことを言っているわけではないので何も答えられない。
正論こそ人を追い詰めるものはないとはよく言ったものです。
しかし、正論で追い詰められる程度の人間はそれはそれで所詮その程度。感情的になる家族を軽く受け流して、謝るだけ謝って寝ました。
補助金もゼロ、裁判も諦める
取り敢えず、仕事が欲しい。
けれど、内定取り消しが新鮮なうちにもしかしたらもらえるかもしれない補償金や補助金があればもらっておきたい。この内定取り消しの過程で時間だけでなく、お金も結構消耗しましたから。
東京へのバスのキャンセル料、東京への往復バス代、東京での生活費など。
(細かいですが。。。)
ということで、内定取り消し関連の補助金をインターネットやハローワーク、大学、弁護士など様々なところで調べました。しかし、そう上手くはいかず。
結論から言うと、補助金や補償金はゼロでした。
(国民一括で給付された10万円だけですね。)
裁判も弁護士の方が勝訴して賠償金を請求するなんてことは厳しいとのことでした。一番大きな理由は、新型コロナウイルスの責任は誰も負うことができないから。どうやら会社の内定取り消し理由が新型コロナウイルスだと、会社だけのせいにはできないみたいです。
要するに、コロナウイルスは誰のせいにもできないから、裁判にしても判断しにくいってことです。
特に外部的な要因が無く、急遽会社から一方的に内定取り消しを告げられれば、それは裁判で勝てるかもしれません。しかし、今回は新型コロナウイルスの影響という明確な理由があるため、判断が難しいとのこと。
さらに、新型コロナウイルスにおける裁判は判例(裁判の前例)が無いため、下手に提言できません。よって、会社からの補助金は出ない。ということでした。
弁護士でも特例関係に関しては下手に提言できないようでした。過去の裁判の事例となる判例がないことに関して、踏み込んだことは言えません。
故に、今回の新型コロナウイルスによる裁判関係については明確に言うことができないのが現状です。
市役所もコロナや内定取り消し専門の受付が完備されていませんでした。緊急事態というのもあり、地域支援課といった生活保護担当の方が代わりに対応していたりしています。
その方たちもまだ整備されていない環境の中なので、正直対応は後手に回りがちで、ハローワークに対応できないかといった対応になります。
ハローワークも扱っていない求人だと、会社への休業補償などの手続きを取り持てないことが多いです。休業補償などの相談をしましたが、ハローワークの方もまだ何とも言えないといった状況でした。
出来たとして、ハローワークが紹介している求人だけとのこと。
転職エージェントも職に就くまでの斡旋が主な業務であるため、労働関係に関しては何も言えません。紹介会社というだけで、労働関係の手続きについて話してくれるわけではありません。
あくまで、就職するまでが転職エージェントの役割だそうです。
キャリアセンターも一時的な雇用は可能ですが、補償金などに関しては何も言えない状態でした。キャリアセンターはただでさえ21卒の氷河期(?)就活でカオスな状況なのに、20卒の内定取り消しの対応まで手が回りません。
こういった経緯もあり、キャリアセンターも対応が後手に回りがちなのが現状です。
諦めてしばらくしから、厚生労働省による休業補償給付金が申請開始。
この給付金は要するに、中小企業で、会社都合の退職になったけど給付金がない人は休業支援金・給付金を申請できますよ!って話です。
内定取り消しや無給の入社日延期も対象なので、申請をすることにしました。
内定取り消しを認めない会社
厚生労働省の休業補償給付金を申請することにしました。しかし、厄介なことが1つ。というか、めちゃくちゃ大きなハードル。
この給付金申請は、会社からも休業補償給付金申請書に書いてもらう必要があります。
私の場合、内定取り消しになった後なので、もう関係性のない会社にもう一度連絡しなければなりません。
また、会社からしても、「うちの会社は休業補償をしないし、休業補償をする気もありません」ということを国に宣言するようなもの。なので、事業主もスッと書いてくれないことが多い。
案の定、会社に連絡しても一切書いてくれませんでした。
それどころか、内定取り消しをしたことすら認めません。内定取り消しをした企業は「試用研修で実力に合わないと判断し、不採用をしたのだ」とのこと。
こちらからしたら、内定取り消しのようなものだが、向こうはそう受け取ってくれません。メッセージで何度も連絡しましたが、全く応じる様子はありませんでした。
あと、内定を取り消した旨の書類を提出してくれと連絡して、届いた書類は「不採用通知書」でした。いろいろとツッコミどころはありましたが、もうこの会社と関わりたくないのと、シンプルに時間が無駄だと判断して諦めました。
内定取り消しをしないという名目の会社への補助金はあるのに、内定取り消しを受けた労働者への補助金が一切無いのかと。
あっても休業補償とかで内定取り消しピンポイントでの給付金は一切ない。
労働者は搾取されるとまでは言いませんが、労働者はどうしても弱い立場にあるのだなと感じましたね。それ以上に、それを理解したうえでどう生きるか?を考える方がよっぽど生産的だなと考えました。
感情的には訴訟や会社に抗議をしたい想いがありました。
やはり、このような仕打ちに対して会社に非を認めてもらいたかったから。でも、会社に非を認めてもらって何になるのか?頑張ったとしても、せいぜい謝罪文くらいしかもらえないでしょう。
そんな会社からの謝罪文なんか渡されたところで今後役に立つのか?自分が今最も求めているのは仕事。もっと言うとお金。
となれば、自分でコントロールしにくい分野は無視して、自分がコントロールできる分野に集中しようと思いました。
内定取り消しに関する質問で終わる面接
5月末、内定取り消しを受けてからいろいろ悩んだ結果、6月から就職活動を開始しました。
正直新卒はほぼ荒れ地状態。
ただでさえ新型コロナウイルスの影響で求人数が減少しているのに、自分は6月からのスタート。
圧倒的に不利な状態でした。
かといって、既卒も少数。求人数が少ないことには変わりません。いくつか新卒と同じ要領で企業に応募しました。
新卒の場合、書類は大体通るのですが、面接が結構内定取り消しに関する質問で終わることが多かったです。
最初こそは、「内定取り消しって大変だったね」と同情してくれることはありましたが、徐々にそのあたりを深く掘り下げる質問ばかりされるようになります。
「内定取り消しのときってどういうこと言われたの?」
「どのくらいの期間を使って内定取り消しになったの?」
「内定取り消しの通達って資料とか無かったの?」
このように、内定取り消しに関する質問だけで面接のほとんどの時間を使うことがありました。
自分の内面とは全く関係のない質問ばかり。
もちろん、そんな面接は落ちます。興味本位で聞かれているように感じました。少しくらい面接らしいことを聞いてほしいと思うこともありました。
面接で疑われる内定取り消しの真偽
「内定取り消しされてからの就職浪人なら、一度内定もらってるから他の就活生や就職浪人より有利では?」
「内定取り消しにあったと言えば同情して次の選考に進めてくれそう」
とか言われることがあります。
しかし、内定取り消しされたからといってそんなことはありませんでした。面接では内定取り消しの詳細について聞かれて、アピールする時間がないまま終わったり。
むしろ「何で見極められなかったの?とか本当に内定取り消し?」とか疑われることも。
そもそも信用してもらえなかったりもしました。
具体的に言うと、
「内定取り消しって本当に?証拠となる書類は?」
と、内定取り消しの真偽について聞かれることがありました。
ニュースでは内定取り消した学生に謝罪し補償金を支払った企業が報じられていたり、内定取り消しを認める書類を提出したりしています。
自分の場合、企業も内定取り消しを認めないため、証拠が無い。
そのため、内定取り消しという嘘で就職浪人している言い訳をしているのだと疑われることもありました。
内定取り消しを信用する企業こそピンチな企業
内定取り消しを疑う企業のほとんどは、新型コロナウイルスの影響を受けていない業界や企業であることが多かったです。
逆に、内定取り消しについて理解してくれたり、内定取り消しに同情してくれる企業は、正直なところ同じように新型コロナウイルスの影響をもろに食らっていてピンチな企業であることが多かったです。
そのため、同情してくれる企業ほど、「採用活動が厳しくなって」という理由での不採用が多い印象。
内定取り消しを信用してくれる企業は、内定取り消しを受けた企業とほとんど同じ形態の企業。そのため、大体時間差で新型コロナウイルスの影響を受けて、仕事ないから不採用ですって言われることが多い印象がありましたね。
やはり、内定取り消しを「やっぱり厳しいですよね」と言ってくれる企業は大体同じようにコロナで事業が厳しかったりします。
だから、同情されても仕事無くて不採用になりやすい。
一方、コロナの影響を食らってない企業は「本当に内定取り消しされたの?」と内定取り消しについて聞かれて面接が終わります。
この二極化は、どうもコロナ不況特有のものだと思います。
コロナ不況では、飲食業界や音楽業界などが不況の影響をもろに食らっている一方で、自社開発のIT業界やオンライン型の事業はむしろ追い風になっていることが多い。
そのため、コロナ不況に厳しい企業ほど内定取り消しすることが理解できるが同じく経営不振で採用しにくく、コロナ不況の影響を受けていない企業ほど内定取り消しが理解できず採用されないという。
二度目の内定取り消し?
エージェントを使って内定取り消しのことを説明してもらうことで、かなり良い線まで行った企業がありました。
企業としては、ベンチャー企業で社長が面白いタイプ。
内定取り消しされた企業とデジャヴだなと感じながらも、このときの面接は、本当に会話として話し合えました。
これからの展望についても、自分の目指す分野で、自分のスキルの相談にも乗ってくれたりもしました。
転職エージェントからは「ほぼ内定です」という連絡が来て、研修などの予定の確認をしたいとの連絡が。
もちろん、無職でフットワークが軽かったためすんなり予定が決まり、「研修の日程が確定したら連絡しますね」との返信が返ってきました。
やっと良い企業に出会えるのかなと、半分喜んでいました。しかし、内定取り消しされたこともあって、「本当に大丈夫ですか?」と一応転職エージェントに問い合わせる。
転職エージェントは軽く、
「この段階まで行ったら、この企業さんはほぼ大丈夫ですよ。今までここまで来て落された人は見たことがありません。」
と言う。
「前例が無いとは言っても、前の企業で内定取り消しというはじめての前例を作ったのが自分なんだけどな」と思いながら、一旦転職エージェントを信じることにしました。
数時間後。しかし、やはり採用できなくなったとのこと。
面接では特に問題なく、社長も採用したいという気持ちだったそう。けど、仕事が無くて雇えないということ。同じような経験をまさか二度もするとは思わなかったですね。
一度経験していたからこそ、かなり警戒してエージェントも挟んだのに、この始末。エージェントは「今まで仕事が無くて不採用とかの前例はありません」と言っていたのに、この始末。またはじめての事例をつくったわけですね。
正式な内定ではないものの、実質的には二度目の内定取り消し、二度目の採用取り消し。
正直、そんなミラクルを起こす自分自身に引いていました。
就職活動を模索
再就職活動を開始してから1ヶ月。7月になりました。1か月経ってもまだ成果なし。自分が設定したリミットはあと1か月。さすがにこのままのやり方を続けるのは厳しいので、戦略を大幅に変更しました。
結論から言うと、就職・転職市場の集中を下げて、派遣社員を中心に狙う方針に。
結構求人数の減少など埒が明かない状況が続く中、ニート期間をこれ以上増やすのは不毛。
なので、まずは実務経験を積むことを最優先にしました。
というのも、エンジニアやWEBデザイナーはどれだけプログラミング学習を独学で進めても実務でのスキルアップにはつながりにくい。
独学で学習する以上1人での開発ですが、実際の実務はチームでの開発。開発する規模も大きく異なります。
そのため、ひたすら勉強するよりもなんでもいいから実務の経験を積むということに絞り、派遣という選択肢を考えました。
派遣社員としての経験をもとに、キャリアを描いていく戦略です。
就職・転職エージェントも軽く使いつつ、派遣エージェントも同時並行で進めました。
これが結構功を奏しました。
派遣社員は未経験でも採用されやすい点がかなり良かったです。(もちろん、実務経験があるほうが良いには越したことないですが。)
また、派遣サイトはコロナ禍でも、結構求人数は多い。それもかなり使いやすかった印象があります。(もちろん、コロナ前と比べると減っているそうですが。)
7月から派遣エンジニアのエージェントに登録し、未経験求人を中心に応募しました。
職業は主にエンジニアやWEBデザイナー職で、求人を選んだ軸はコードを書けることを基準に決めました。
合計6時間の適性検査と面接
派遣エージェントを複数登録したところ、すぐに案件が見つかりました。履歴書と職務経歴書の書類を送り、1週間。
ハラハラしながらも、書類選考通過の連絡。そして、その後適性検査と面接が開始。論理的思考力や、計算能力、集中力、短期記憶力、などなど。
5時間にも渡る様々な適正検査を終え、3対1の面接が開始――――――――
12:00頃に開始した適性検査と面接が終わったのは、18:00頃でした。へとへとになりながらも、何とか終えました。
3日後、派遣エージェントから電話。
大体こういう連絡は合格のときは電話、不合格のときはメールであることが多い印象ですが、「不合格でも連絡する」とだけ言って、しかもその連絡手段を聞きそびれたのでハラハラしました。
ビビりながら電話をとりました。そして、エージェントの方から、第一声で「合格です」という連絡が。
8月から無事仕事にありつけました。
状況が一気に好転
また、このあたりの時期に就職・転職市場のほうもかなり順調に進みはじめ、面談もかなりスムーズに進みました。
結果として、3社ほど正社員としての内定をもらうことができました。とても嬉しいというか安心したという感情の方が大きかったですね。
一般的には転職して正社員として入社するのが鉄板で、王道なルートでしょう。
ただ、仕事の解像度が高く経験が積めそうなのは派遣社員のほうでした。
内定取り消しを受けた時点で、安定的な思考や絶対的な安定は信じていません。
そのため、どこに異動されるか曖昧な正社員ではなく、8月から職種内容のはっきりしている派遣社員としての就業を決めました。
何とか内定取り消しという絶望から、無事に次の仕事を見つけ、就業するまでに至りました。
最後に
結構ひどい仕打ちをした会社自体は許せませんが、2か月の入社日延期や3日での内定取り消しなどの経験は学びも多かったなと前向きに考えています。
この約4か月の経験は間違いなくこれからの自分の将来について考えさせられた期間だったと思います。
もし、内定取り消しとか、無給の入社日延期とか、同期が全員辞めるようなスパルタ研修とかを経験していなければ、ここまで自分の将来について向き合うことはなかったでしょう。
逆境では逆境でしか学べないことがある。
逆境の中でどう次に向かうチャンスを掴むか。
そんなことを学びました。
皆さんもこういった辛い経験があったときには、この記事を読んで少しでも前向きになってもらえたらなと考えています。
ここまで本当に読んでくださりありがとうございます。
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