就職活動で有価証券報告書って見た方がいいの?
IR情報って情報多すぎてよくわからない。。。
就活だと有価証券報告書のどこを見ればいいの?
有価証券報告書・IR情報は、情報としてかなり価値がある一方で、情報量が多過ぎて何を見ればいいかわからないこともあると思います。
この記事では、有価証券報告書・IR情報とはを軽く解説しつつ、就職活動や転職活動に向けた有価証券報告書・IR情報の読み方について解説していきます。
有価証券報告書・IR情報とは
有価証券報告書・IR情報とは、一言で言うと資本家向けの資料のことです。
要するに、会社の株を買いたい人が、その会社が本当に株を買う価値があるのか?を分析するための情報。
そのため、一次情報として就職活動や転職活動においてかなり有益な情報でありながらも、情報量としては膨大でパニックになります。ざっと挙げるとこんな感じの情報がわかります。
- 企業の概況
- 事業の状況
- 設備の状況
- 提出会社の状況
- 経理の状況
- 提出会社の株式事務の概要
- 提出会社の選考情報
正直、私も資本家観点では見たことないからよくわからないです。。。
今回は、就職活動や転職活動で使うための有価証券報告書・IR情報の読み方に限定して解説していきます。
有価証券報告書・IR情報の読み方
結論から言うと、就職活動や転職活動で最低限見るべき有価証券報告書・IR情報は以下の3つです!
まず、就職・転職する会社での働き方が、求人と相違ないかチェックしつつ、具体的なイメージを付けましょう。
次に、事業として就職・転職先で理想の仕事・事業に携われるか?について調べましょう。企業のホームページ以上に客観的かつ具体的に理解することができます。
そして、会社が短期的につぶれないかどうかを分析しましょう。正直、性格に分析することは難しいとは思いますが、参考程度に見ておきましょう。
それでは、3つの視点をどう見るか具体的に解説しますね。
会社員の働き方について
会社員の給与・平均勤続年数など従業員の状況を把握しよう!
まずは、会社員の給与や平均年齢などを確認しましょう。
探し方としては、有価証券報告書・IR情報にはたいてい目次があるので、目次から企業の概況のうち、従業員の状況のページを探します。
提出会社の状況の欄に、平均年齢や平均勤続年数、給与がわかります。
注意点としては、あくまでパートも含めた平均給与・平均年齢。大体の目安だなと思っておきましょう。
あと、平均は決算年度によって意外とブレることにも注意。直近3から5年分は見ておくといいですよ。
有価証券報告書・IR情報だと結局正確にはわからないの?
うん、正確ではないし、定かかどうかも微妙なことあるよ。
正直、理想は人づてに聞くことです。すでに働いている社員から「どんな感じっすか?」と聞くのがベスト。
だけど、2021年のこんな状況だと現実的に難しいので有価証券報告書・IR情報からわかる範囲で確認しましょう。
もちろん、有価証券報告書・IR情報だけだと偏るので、いくつかの情報源を使って確認するのが大切ですけど。
事業の概要・状況について
会社の傘下関係やメイン事業などを確認しよう!
会社の事業や、関連会社について調べていきましょう。
探し方としては、有価証券報告書・IR情報の目次から事業の状況や経理の状況から探します。
大体、この2つの欄から以下のことがわかります。
- 事業の状況→関連会社との関係
- 経理の状況→会社のメイン事業
事業の状況
部門とか個別業務の内容を、企業ホームページとともに理解しましょう。傘下企業や持株会社との違い、位置づけは把握しないと、面接とかで下手なこと言ってしまうかもしれないので理解しておきましょう。
いや、まとめサイトで良くない?
会社のHPのまとめならまだしも、他の媒体はおすすめしないよ。
まとめサイトとかってわかりやすいんですけど、たまに持株会社の情報を傘下企業のランキングにはめていることも少なくないです。一次情報を検索する力が重要ですよ。
経理の状況
企業の利益的な情報、セグメント情報を調べましょう。
PDFやページで「セグメント」とかで検索かけると大体出ます。
Ctrlキー(Macは⌘)と「F」で検索できるよ!
セグメント情報では、その会社が何を本業としているのかがわかります。事業の多角化を行う会社は特に、何で利益を上げているかなどを確認しましょう。
有名どころで言うと、AmazonはEC事業ではあまり利益が少ない一方、サーバー事業(AWS)でしっかり利益を出しているんだなぁとかがわかります。
注意点としては、全てのことに言えますが、直近3年くらいをざっと見ておきましょう。
事業の方はそんなに変わることは少ないですが、何で利益を得るようにしているか?何に力を入れ始めて、何に力を抜き始めているか?はわかるためには、ある程度数年分確認するのが確実です。
会社が倒産しないかについて
会社の健全性指標を理解しよう!
最後に、会社が短期的に倒産しないか、短期的に支払い能力があるかどうかについて確認しておきましょう。
いわゆる健全性指標というやつです。入社後すぐに倒産するか倒産しないかを理解するために、短期的な支払能力を確認しましょう。
正直有価証券報告書・IR情報とか出してる企業の時点でめったに倒産しなくない?
いやいや、平成の期間だけで上場企業でも234社が倒産してるのに。リストラや退職希望募集を考えるとより厳しいと思うよ。
そう言われると確認しないとなぁ。。。何を見ればいいの?
健全性指標としては、以下の3つが代表的です。
探し方としては、貸借対照表とキャッシュフロー計算書から確認します。それぞれ詳しく解説していきますね。
流動比率
流動比率と当座比率は貸借対照表から確認できます。
貸借対照表は、有価証券報告書・IR情報の「経理の状況」から確認可能。検索したら大体出ます。
そもそも、流動比率って何?
流動比率とは、1年以内に支払いできるかどうかの指標のこと。
計算式的には、こんな感じ。
流動資産は、1年以内に現金化できそうな資産のこと。商品の在庫とか。
流動負債は、1年以内に返済しないといけない負債。短期的な借入金とか。
もし、流動比率が100%だと、1年以内に支払わないといけない負債に対して、1年以内に現金化できる資産が同額あるということなので、短期の倒産リスクは低いと一応言えます。
低いと「一応」言えます、、、?定かじゃないの?
(何で気付くねん。。)あとで解説するよ。
ちなみに、流動比率が100%割っているからすぐに倒産するわけじゃないです。これとは別にその年事業で得られる現金とかもあるので。
流動比率が高いと確実に大丈夫なの?
うーん、事業的には微妙。。。
流動比率って高過ぎてももっと積極的に投資しろ!と言われるし、低いと返済できないのか!と言われます。なので、大体100%近くだったらいいかなという感じですかね。
流動比率の見方の注意点としては、こんな感じ。
数年分見るのはもちろんですが、同じ業界の会社とも比較しましょう。業界によって平均的な流動比率が異なるので。電力会社とかは平均的に流動比率が低いんですけど、電気代が支払われないことの方が少ないので、流動比率が低いけど健全という状況です。
さっき「流動比率が100%は一応大丈夫」って言ったけど、「一応」ってのはどういうこと?
(よく覚えてたね。。)それは業界や状況によるからだよ。
流動比率は、業界や状況によって意味合いが変わります。
例えば、アパレルとか不況時に在庫を抱えるような業界だと、すぐに現金化できないのに資産が大量にあるという状況になります。
となると、
- 流動比率の数値的には高くなって良いように見える
- だけど、実際は在庫抱え込んで儲けが出ない
という状況になりがち。なので、流動比率も正確な健全性の指標にはならないんですね。そこで当座比率を使って調査します。
当座比率
当座比率についても、流動比率と同様貸借対照表から確認できます。有価証券報告書・IR情報の「経理の状況」を検索して貸借対照表を探しましょう。
当座比率とは、流動比率とほぼ同じく、1年以内に支払いできるかどうかの指標のこと。
式的にはこんな感じ。
当座資産は、特に換金性の高い資産のこと。短期貸付金とか。
流動負債は、1年以内に返済しないといけない負債。短期的な借入金とか。
当座資産は、商品の在庫とかを負債を含めないから、不況で在庫溜まって健全ぽく見えるというが防げるんですね。
ただ、売掛金が回収できない・短期貸付金が戻ってこないとかもあるから100%超えているから大丈夫と断言はできないです。。。
キャッシュフロー
キャッシュフローは会社の短期的な収支を確認する指標です。
会社の事業は、支払いが大幅に遅れることもあって、計算的には利益が出るはずなのに相手の支払いが遅れまくってつぶれる黒字倒産というのも存在します。
この黒字倒産のような短期的な収入が先延ばしになったリスクを計算するためにキャッシュフローを確認しましょう。
キャッシュフローは、「企業の概況」から簡単にわかります。
一応、「経理の概況」からキャッシュフローの内訳とかも確認できますが、正直そこまで確認してもよくわからないので、今回は割愛しますね。
企業の概況から以下の3つのキャッシュフローを確認しましょう。
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- 財務キャッシュフロー
一つひとつ解説していきますね。
営業キャッシュフローは、企業の営業活動によって得た現金の収支のこと。商品販売の収入や人件費とか。
営業キャッシュフローは、基本的にプラスのほうが好ましいです。
基本的にって?例外はどんな状況?
事業を一気に伸ばすための人材大量雇用とかかな。
急成長事業とかで人材を一気に入れるとマイナスになることもあるのでマイナスだからヤバいわけじゃないです。
なので、営業キャッシュフロー注意する点としては、
- 企業の成長フェーズはどのタイミングか
- 一過性の要因によるプラスかマイナスか、恒常的なものか
を確認しましょう。
次に、投資キャッシュフローです。新規事業や買収などの現金の収支のことですね。
これも規模拡大のためのものならマイナスになっても問題ないです。
プラスだったら絶対大丈夫なの?
そんなことも無いかなぁ。
投資キャッシュフローがプラスでも、営業キャッシュフローがヤバくて大量に事業を売りつけるタイプのプラスだとヤバいです。
なので、投資キャッシュフローを確認する際に注意するポイントは
- キャッシュフローのプラス・マイナスの要因
- 営業キャッシュフローと現金及び現金同等物の期末残高
になります。
最後に、財務キャッシュフロー。
財務活動による収支です。株式の動きや施設の資金調達など。
資金調達によるものなので、企業の成長フェーズによって偏ります。大体、成熟期はマイナスになりやすい感じですかね。会社がつぶれそうなのにマイナスならかなりヤバいという感じです。
もはやほとんど同じですが、財務キャッシュフローも
- 企業の成長フェーズはどこか
- 営業キャッシュフローと現金及び現金同等物の状況
に注意して確認しましょう。
最後に
長かったーー!!!
お疲れ様です。。。
ただ、ここまでしっかり確認している就活生って意外と少ないと思うよ。
この記事を横にしながら、企業の有価証券報告書・IR情報を見ていくと結構会社の状況について詳しく把握できるはず。是非様々な企業の有価証券報告書・IR情報を調べてください。
皆さんの就職活動・転職活動の参考になれば幸いです。
コメント
ためになりました!
コメントありがとうございます!
良かったです!